税理士の経営・財産・相続トピックスVol.067「物は資産、人は負債」
桜の季節も過ぎ、新入社員や新入学、4月はいろいろな人が新たな地でスタートをきります。
迎え入れる会社や学校も、新しい人に大きな期待を寄せています。
人は「人材」ではなく「人財」と表現されるように、「材料ではなく財産なのだ」と強くアピールしたいのが入社式です。
そのはずですが決算書を見ると、人を雇えば負債をたくさん積むことになります。
退職給与引当金、賞与引当金、未払法定福利費、どんなに素晴らしい人が入社しても育っても資産として決算書に表現されることは一切ありません。
物凄く優秀な愛社誠心があるベテランも、積み上がっているのは退職金の債務で、資産は表現されない。
「人が入ったら直後に債務を考えなさい」「資産なんてとんでもない」これが雇用に対する会計の捉え方です。
一方で、売り上げには役に立たない物でも「資産」となります(減損はありますが…)。
無形固定資産は、物としての形は無いけど資産になるので、営業権やソフトウェアなど目に見えない支払いでも資産として扱われます。
「人財」は当社の宝だといいながら、実は「人は債務だよ」「資産のかけらにもならないよ」と、経営を表す決算書では言い切っているのですね。
その背景は何だろうか。全世界的にそのような扱いになっている会計の歴史があるのでしょう。
会計上はそのようになっていても、フレッシュで気持ちの良い新入社員が入ってきたときには「未来の財産だ」、いざという時に頼りになるベテランは「当社のかけがえのない財産だ」と、経営者の方は財務諸表には表現されない「財産」をアピールしてください。
これらの見えない財産を持てる会社にしていきましょう。
2019年4月1日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
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